2016年08月14日

熊本を旅して震災について思う


この時期に久しぶりにブログを更新するというのに、
別にコミケという一大行事もオリンピックも関係なく、
夏も何も感じさせないものということを、最初に詫びておく。

一か月前、九州に旅行に行ってきた。
様々な事情が重なって(自ら重ねて)、
福岡、熊本、鹿児島と縦断したのだけど、
一番の目的は熊本、そう、今年の四月に震災が起きた、
熊本への復興支援というのが一番の目的だった。

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時間的にも金銭的にも決して余裕のある身ではないけど、
ちょうど九州ふっこう割が発表されたことも手伝ってね、
LCCと組み合わせることで移動宿泊費は超格安で抑え、
その分地元に少しでも小銭を落としていこうという算段だ。

でも、そもそもなぜ急に「旅して応援!」とか言い出したのか、
俺に対してそういうことに熱心という印象もないだろう。
俺自身も、意外な思いだったよ。
まさか、五年前のことをここまで引きずるとはね。

五年前、東日本大震災の最中、俺はどういうめぐり合わせか、
東電のカスタマーセンターで働いていた。
よりによって、あの東電。派遣だけどね。
派遣とは言え、電話口で名乗る名前は東電、
電話相手からしたら、悪の一味だよ。

大げさでも何でもなく、そういう扱いだったからね。
全員が全員とは言わないけど、社会からのヘイトを一身に浴びていた。
今となっては、責められても仕方ないと思うけど、
当時は随分理不尽に思ったし、病みもしたよ。
罵詈雑言のオンパレードに、日々変わっていく状況、etc。

中にいると不思議なもので、自己防衛、肯定が働くのか、
東電の正義自体は疑っていなかった。
だから、クレーマーを随分憎らしく思っていたよ。
クレーマーという言葉をどう定義するかも難しい、と言うか、
正当な怒りをも、クレーマー扱いしていたように思う。

その一つにね、どうしても忘れられないものがあって。

都内一部の地区で順番に停電を実施する、輪番停電、
その地区に選ばれた方からの入電だった。
自宅で治療中の人がいるのに停電したら医療機器が止まる
とのこと。その訴えを、俺はどう感じたかな。
決まりだから仕方ないと、自分勝手なことを言うなと、
そういうことを、少なからず感じていたよ。

近くの医療施設のこととか、バッテリーのこととか、
多分何かをどうすることはできたと思うし、
最終的にはできたのだと思う。
でも、俺はね、「死ねというの!?」という、
あの訴えをただのクレーマーだと感じた自分のことが、
今でも思い出す度に許せなくて。

だから、あの震災において、俺も東京で暫く不便な思いをした、
被災者だと言いたいところだけど、いいや、
俺は加害者だと、人を傷つけた一味だと、感じ続けていた。

そこで、冒頭の熊本を旅して応援したいという行為に繋がる。
ストレートに繋がっていないのは自覚するところだけど、
少しでも罪滅ぼしをしたかったし、そうして行動することで、
自分の心が慰めを得るのではないかという期待もあった。

しかし、実際旅してみて、俺は正直驚いたよ。
七月中旬の時点で、被災地はまだまだ被災中だった。

傲慢な話だけどさ、東京はやっぱり情報の中心地で、
そこでの報道が減ったから、事態も収束したかと思っていた。
もう観光を満喫できる、それが支援に繋がると、
恥ずかしながら、どこか楽観視していたよ。

実際は、熊本城には近づけず、崩れた石垣は痛々しいまま、
それだけでなく、市街地の至る所に亀裂が残っていた。
阿蘇の方も観光できたらと思っていたけど、
そちらはまさに震源地付近、道路は一本を残して全て閉鎖、
鉄道も再開の見込みが立たない状況だった。

完全に、ナメていたよね。
でも同時に、だからこそ無意味ではなかった。

旅行者の出で立ちで、平日だったこともあり、
旅先ではよく地元の人と話ができたのだけど、
本当に歓迎して、親切にしてくれた。
それが、単純に嬉しかったよ。
俺個人ができることは余りにも少ないけど、ゼロではない。
行動は確かに、プラスの結果をもたらすことができた。

もし、被災地のことをシビアに捉えすぎていたら、
行くこと自体に二の足を踏んでいたかも知れない。
でも、こうしてある意味バカ正直に行動したことで、
現実を知ると同時に、その現実に貢献することができた、
与えられた場にこもって、精神的に逃げて終わってしまった、
五年前とは違う結果だ。ここから学ぶことは多い。

折しも最近、行方不明だった男性の遺体が発見された。
死という現実は、疑いようもなくついて回る。
そういう重い話も、聞かせていただいた。
でも、その現実に哀悼の意を示すことと、
明るく観光して回ることは、決して矛盾しない。

それを、地元の人達は歓迎という形で証明してくれた。

熊本は震災の後、集中豪雨にも見舞われ、
要の農業もダメージを受けていると聞いた。
方々に、それぞれが、少しづつ、
それでもいいから、お金を落としていくことは、
かなり大事なことなのではないかな。
実際、返す返す俺も別に大したことはしていない、できない、
それでも、ゼロではないという実感を得られたから、
その思いを共有したくて書いている。

よくこういうことがある度に、そこらのクリエイターは、
「自分には書くことしかできないけど」とか言うけど、
いいや、書くこと以外もできるよ。
募金箱に十円入れるだけでも、それはできることだから、
俺は決して、しかできないと、簡単には言いたくない。
しかできないと、かつては思っていたからこそね。

そして、俺も表現する手段を少なからず持っている身。
観光客としての貢献だけに、終わらせるつもりはない。
俺は結構欲張りだからね。今回の九州旅行に際しても、
実のところ福岡には姪に会いに行きたくて、
鹿児島には中二病の聖地巡礼がしたくて、
というように、色々なものをアドオンしている。
熊本に対しても、もう一つ二つは、
欲張って役に立ってみようと考えているよ。

月並みな言葉だけど、本当にいいところだったからね。
楽しかった。だから、単純に貴方にもオススメするし、
俺自身も、まだまだ積極的に接していこうと思うよ。

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posted by サコタヤスユキ at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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